戦略的大学連携支援事業への期待と成果
山本 学 氏(文部科学省高等教育局大学振興課大学改革推進室 改革支援第二係長)
山本氏は、まず大学を取り巻く状況の推移について紹介。「平成11年~平成21年の間で、18歳人口は約22%減少する一方、4年制大学の数は約24%増加しています。平成21年度は、大学・短大への進学率は56.2%に上昇し、過去最高になりました」
「大学・短大の収容力(入学者/志願者)も、平成21年度に92.4%と過去最高を記録し、志願者の9割が入学可能な状況となっています」
「社会人等の便宜に配慮した昼夜開講制を実施している大学は、学士課程で1割未満、大学院で約5割。また、学士課程の社会人特別選抜入学者は、近年減少しています」
「平成21年度は、私立大学で約5割、私立短大で約7割が定員割になっています。特に、地方や小規模大学でその傾向は顕著です」などと述べました。
「定員超過の大学と未充足の大学という二極化が進んでいる」として、「大学の教育改善やFD・SDの実施、社会人受入、就職支援などを、大学単体で行うにはコスト面でも人材面でも厳しく、互いの資源を有効活用する大学連携が、日本における高等教育の充実を図る上で必須の課題である」ことを指摘しました。
次に山本氏は、大学改革の現状について説明しました。「国内外の状況が急速に変化し、社会構造全体が変革期を迎える中、大学教育においても、①社会や学生のニーズの多様化、②グローバル化、③人口の減少、に対応していかなければならない」と述べ、中教審諮問「中長期的な大学教育の在り方について」(平成20年9月11日)を受けて、「制度や仕組み、予算システムなどを新たに導入するよりも、既存のものを整理し、意義や妥当性を再確認することで、大学教育全体について見直しています」と、文部科学省の取り組みについて紹介しました。
そして、教育や研究、FD・SDなどの大学間ネットワークを促進する文部科学省の事業を紹介し、「大学教育の一層の充実を図る観点から、各大学が機能別分化と大学間連携を進めることによって、高等教育全体としてより多様かつ高度な教育を展開していくことが重要である」と述べました。