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3ヵ年活動報告フォーラムの開催

基調講演

戦略的大学連携支援事業への期待と成果

山本 学 氏(文部科学省高等教育局大学振興課大学改革推進室 改革支援第二係長)

山本 学 氏(文部科学省高等教育局大学振興課大学改革推進室 改革支援第二係長)
山本 学 氏

南大阪の6大学による「実践力のある地域人材の輩出~大学連携キャリアセンターを核にして~」は、文部科学省の平成20年度「戦略的大学連携支援事業」に選定されました。本事業は、3年間の財政支援期間を経て、今後どう展開させていくのか。文部科学省の山本 学氏が「戦略的大学連携支援事業」を総括するとともに、今後の課題と展望について講演を行いました。

教育の充実を図る上で、大学連携がカギになる

山本氏は、まず大学を取り巻く状況の推移について紹介。「平成11年~平成21年の間で、18歳人口は約22%減少する一方、4年制大学の数は約24%増加しています。平成21年度は、大学・短大への進学率は56.2%に上昇し、過去最高になりました」

「大学・短大の収容力(入学者/志願者)も、平成21年度に92.4%と過去最高を記録し、志願者の9割が入学可能な状況となっています」

「社会人等の便宜に配慮した昼夜開講制を実施している大学は、学士課程で1割未満、大学院で約5割。また、学士課程の社会人特別選抜入学者は、近年減少しています」

「平成21年度は、私立大学で約5割、私立短大で約7割が定員割になっています。特に、地方や小規模大学でその傾向は顕著です」などと述べました。

「定員超過の大学と未充足の大学という二極化が進んでいる」として、「大学の教育改善やFD・SDの実施、社会人受入、就職支援などを、大学単体で行うにはコスト面でも人材面でも厳しく、互いの資源を有効活用する大学連携が、日本における高等教育の充実を図る上で必須の課題である」ことを指摘しました。

大学間ネットワークの構築をサポート

次に山本氏は、大学改革の現状について説明しました。「国内外の状況が急速に変化し、社会構造全体が変革期を迎える中、大学教育においても、①社会や学生のニーズの多様化、②グローバル化、③人口の減少、に対応していかなければならない」と述べ、中教審諮問「中長期的な大学教育の在り方について」(平成20年9月11日)を受けて、「制度や仕組み、予算システムなどを新たに導入するよりも、既存のものを整理し、意義や妥当性を再確認することで、大学教育全体について見直しています」と、文部科学省の取り組みについて紹介しました。

そして、教育や研究、FD・SDなどの大学間ネットワークを促進する文部科学省の事業を紹介し、「大学教育の一層の充実を図る観点から、各大学が機能別分化と大学間連携を進めることによって、高等教育全体としてより多様かつ高度な教育を展開していくことが重要である」と述べました。

財政支援期間後も継続させていくことが重要

続いて山本氏は、「戦略的大学連携支援事業」(平成21年度から「大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム」に名称変更)の過去2年の選定状況を紹介。「地域や分野のバランスに配慮して選定し、全国で92件(467大学等)の連携取組を支援しています」。

南大阪6大学の連携事業について、山本氏は「地域における知の拠点の確立と、経営の効率化が進められており、『リンカーンプロジェクト』をはじめ、着実に成果が得られている」と評価しました。

大学間連携を成功させるポイントとして、①実施体制の強化、②積極的な展開、③連携の継続性、の3点を挙げました。実施体制の強化では「学長を中心としたリーダーシップ、教職員同士のつながり、大学間の総合的な連携」、積極的に展開するために「大学ごとの強みや責任の分担、各大学の個性・特色の明確化」、連携を継続するのに「地域の自治体・企業・住民の参画、自己評価および外部評価」が必要であると強調しました。

最後に山本氏は、「連携事業で一番重要なのは、財政支援期間が終わった後も継続していくこと」と期待を込めて述べました。

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