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3ヵ年活動報告フォーラムの開催

第4分科会

「大学連携におけるSDを考える」

主催/SD委員会
ファシリテータ/大倉 孝昭 委員長(大阪大谷大学 教育福祉学部教授)
パネラー/宮谷 浩文 氏(プール学院大学)
パネラー/秦 敬治 氏(愛媛大学 教育・学生支援機構 教育企画室副室長准教授)

教育支援機能の強化やキャリア形成支援機能の充実など、本事業の目標を達成するには、大学職員の協調的支援活動、大学の枠を超えた広域的視点からの能力開発が欠かせません。ここでは、南大阪6大学共通のSDプログラムの開発に向けた3年間の活動や、その成果について報告されました。また、他大学の先進的なSDの取り組みも紹介され、活発な意見交換が行われました。

SDとは何か? 他大学の先進事例に学ぶ

大倉 孝昭 委員長
大倉 孝昭 委員長

初めに、大倉委員長がSD委員会の取り組みについて概要を説明しました。本事業のスタートに合わせて、2008年度から始まった6大学連携のSD。本連携事業の中で、SDは「キャリア教育・FD」「キャリア形成支援」「生涯学習」という他の3つの分科会のベースとなるものです。これまで各大学で個別に進めてきた職員研修だけでは不十分なため、他の事業から独立させて6大学共通のSDを実施することになりました。2008年12月には、外部のSD専門家を招聘し、第1回合同SDセミナーを開催。そこで「職員が問題を発見し、解決していくという意識改革をめざし、職員自らが他大学の先進事例をヒアリングすることを決めました」と大倉委員長。

先進事例のヒアリングは、複数大学の職員による混合チームを組んで行われました。ヒアリングは4大学で実施され、そのリポートを共有しようと、合同セミナーにおいて報告されました。職員からは「SDの全体像がわかった」「大学によってSDの取り組み方が違うことがわかった」などの声が聞かれ、これらの活動を通して、大きな成果が得られています。

ヒアリングで身をもってSDを体験

宮谷 浩文 氏
宮谷 浩文 氏

続いて宮谷氏が、ヒアリングについて報告しました。宮谷氏は4人チームで山形大学を訪問。「SDには大きく分けて2つの側面があります。ひとつは一般職員からのアプローチ。これは職員が自分自身のキャリアアップを図るものです。もうひとつは管理職からのアプローチ。これは職員がキャリアを積み、組織としていかに発展させるか、そのためにどのような施策があるのかを考えるものです。ヒアリングでは、SDのアイデアを学ぼうと思っていました」と宮谷氏。タイトなスケジュールの中、チームで協働した結果、「このヒアリング自体が、私自身のSDになりました」(宮谷氏)。

国内有数の実践的FD、それを土台とした大学連携SDなど、山形大学の特徴や取り組みについて、宮谷氏が報告しました。豊富な先進的事例の中で「特に、DVD『大学事務NG集』が素晴らしかった」と宮谷氏。そのDVDが上映され、学生への対応や仕事への意識など、参加者の共感を得ていました。

最後に宮谷氏は「ヒアリングに行く前は『自分は成長しているのか』『何かしなければ』と不安で一杯でした」が、今回の研修を通して「以前の自分とは違うという自信ができました」。そして「新しい自分との出会いに向けて、皆さんもSDに取り組んでいただきたい」と述べました。

職員としての能力を開発する大学院の設置へ

秦 敬治 氏
秦 敬治 氏

次に、秦氏が「四国地区大学教職員能力開発ネットワーク(SPOD)」におけるSDの取り組みを紹介しました。SPODは、四国の高等教育機関33校すべてが加盟するFD・SD連携活動の場。

秦氏は、大学と職員の現状を考察し、「ビジョンの不一致が双方にストレスをもたらしている」と指摘しました。大学は職員個々を育成する余裕がない。職員は大学のために働く意識が低い。互いを理解するため、SDが必要だと述べました。

SPODでは、SDを「ジェネラリストとスペシャリストとしての能力を備えた高等教育のプロフェッショナルを育成する」と定義。そのために共同開発しているのが「SPOD-SDプログラム」で、①スタッフ・ポートフォリオ、②職員キャリアアップサポート、③SPOD-SD大学、の3つで構成されています。

スタッフ・ポートフォリオは、職員個々の職歴や業績を可視化したもの。秦氏は「他大学でも能力を証明できます」と職員の流動化を狙っています。職員キャリアアップサポートでは、キャリア形成アドバイスや職員交流の斡旋を実施。SPOD-SD大学は、学務や財務といった各領域の専門性を養うプログラムをそれぞれ学士・修士・博士課程として位置づけます。さらに管理者・経営者を養成する修士・博士課程も開設するという。秦氏は「多様な大学に対応するため、数多くのプログラムを設けようと考えています」。

今後は、教職員能力開発を目的とした「高等教育専門職型大学院」の設置をめざす。秦氏は「教員と職員が一体となって人材開発を考える点が特徴」だと強調しました。

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